【アメリア】Flavor of the Month 39 中尾裕子さん
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Flavor of the Month
<第39回>  全6ページ


現在、フランスのサッカーチーム・グルノーブルの取材記者としても活躍中です!

坂田:ところで中尾さんは通訳のお仕事もされていますよね。フランス2部リーグのグルノーブルで活躍する大黒将志選手が移籍なさったときの通訳をされたとか。このお仕事をすることになったいきさつを教えてください。

中尾:そのサッカーチームでアルバイトをしていた人の知り合いの方からの紹介でお話をいただいたのですが、それまで大黒選手を知らなかった私は、二つ返事でOKしました。ところが、その日、大黒選手についてネットで検索してビックリ! すごい人なんだぁ、と。それはもう、後悔と緊張の嵐でした(笑)。入団会見の通訳をしたのと、その後も試合の度に取材をして、日本の新聞社にデータを送っています。

坂田:それまでサッカーにはあまり関心がなかったご様子ですね。専門用語を覚えたり、準備が大変だったのでは?

中尾:お話をいただいてから当日まで、それは必死にサッカー関連の勉強をしました。「記者会見の時は、サッカーに関する専門用語はあまり出ませんよ」と関係者の方がおっしゃってくださったので、その点はほっとしたのですが、それよりも、大黒選手に関するデータ集めに苦労しました。ガンバ大阪や日本代表での活躍をチェックしてデータを作り、今までの記事をチェックして本人コメントをメモし、記者から出るだろう質問を予測して、それに関する用語をチェックをするという作業をしました。例えば、大黒選手はTV番組の出演中に足首を捻挫して、移籍の予定が遅れたんです。おそらく、それに関する質問が出るだろうと、「足首の捻挫」という単語を覚えたり。愛犬ラオウは一緒に来ないと聞いていたので、ラオウの犬の種類とフランス語での種名をチェックしたり。

坂田:記者会見はテレビで日本全国に流れますから、緊張しますよね。
 
中尾:通訳の経験はそれまでにもありましたが、TVで中継されるのは初めて。中継なので、間違ったらバレる。緊張感が違いました。前日は、今さら調べ物をしても焦るだけだと思い、「あがり症克服サイト」をチェックしました。そして、当日はメガネをはずして記者会見に臨むことに。めがねをはずすと視界がぼやけて人の視線が気にならない、というアドバイスがあったからです。これは100%の効果。目が悪くてよかった、と思えた初めての出来事でした(笑)。

坂田:実は私はサッカーファンなのです! ちょっとミーハーな質問ですが、大黒選手ってどんな人ですか?

中尾:大阪弁でまったりと話す、とても和やかな雰囲気の気さくな方です。サッカーが好きで好きでたまらない、そんな気持ちをそばにいるだけで感じます。チームへの順応も早く、監督は「世界で活躍できるサッカー選手に必要な人間的要素をもっている」と言っていたので、ああ、やっぱりすごい人だな、と思いました。

坂田:通訳と翻訳を両方なさっていますが、中尾さんご自身は、どちらが好きですか?

中尾:両方好きです! 基本的に調べ物は大好きなので、自分の世界にトップリ浸かれる翻訳はとても楽しいです。でも、人に会えないし、孤独な作業なので、気づいたら壁に向かって話をしたりして……。ちょっとやばいですね。それに対し、通訳はたくさんの人との出会いがある。移動があって、知らない土地に行くこともできる。それが大きな魅力です。だから、両方をバランス良くこなしていければいいなぁと思います。
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