【アメリア】Flavor of the Month 43 尾原美保さん
  読み物
Flavor of the Month
<第43回>  全4ページ


“出版持込ステーション”を活用して自分の企画を本にしたい

坂田:ブログは一応良い方向に進みつつある感じですね。他に何か始めたことはありますか?

尾原:企画の持ち込みをしたいと思っていたのを、ようやく今年に入ってから始めることができました。今は、“出版持込ステーション”に何本か企画を応募しています。ビジュアルブックの出版社とはすでに何社かおつきあいはあるのですが、外国の出版社の日本支社だと他の出版社の原書を持ち込むことは不可能ですし、日本の出版社の場合はビジュアルブック専門というわけではないのでそうそう企画は通らないでしょう。それに、「こんなにいい本を知っていますよ」と気軽に言えるような編集者さんはまだいませんから、持ち込みを実現させたい私にとって“出版持込ステーション”は本当にありがたい存在です。

坂田:持ち込む原書はどのように探すのですか?

尾原:アマゾンから送られてくる本の紹介メール、ビジュアルブック関連の海外出版社のメルマガ、建築を専門に扱う日本の出版社のメルマガなどをチェックしています。あと、雑誌を読んだり、海外のウェブサイトを見たりして、よさそうな本は取りよせています。でも、実際に見てみるとハズレということもあるんですよ。

坂田:ハズレというと?

尾原:例えば、文字が少なすぎるとか。私は主にネットで探しているので、レビューを読むとよさそうだったのに、実際に取りよせてみると文字が少なすぎたということがありました。実は、初めて“出版持込ステーション”に出した企画がそうだったんです。原書がわりと話題になっていたので取りよせてみたのですが、思ったより文字が少なかったんです。でも、せっかく取りよせたんだからと企画は出してみたのですが、やはりダメでした。

坂田:やはり、自分がいいと思ったものを出さないとダメということでしょうか?

尾原:そうですね。ただ、最初は出版社の反応もまったく予想が付かなかったので、とりあえず出してみたいというのもありました。そのとき出版社からいただいたコメントは、「洋書として完成してしまっているので、わざわざ日本語に翻訳する必要はないように思います」という内容でした。確かに非常にデザイン性の高い本で、英字の書体も凝っていたので、それを日本語にしてもよくない気がしました。ビジュアルブックの場合、洋書で十分という場合もあるんですよね。情報量の多いものなら翻訳する意味もありますが、デザインや写真を純粋に楽しみたい本もあって、その場合は説明書きは分量も少ないので英語のままのほうがよかったりするんです。

坂田:出版持込ステーションでは、出版社が検討した結果、不採用となった場合でも、基本的に出版社がその理由を教えてくれますから、次の企画を練る際の参考になりますよね。

尾原:そうですね。その次に出した企画は、現在、出版社が検討中なのですが、実は一度不採用という通知を受けたんです。でも、その後、編集者の方が建築の専門家に会う機会があり意見を聞いてみたら面白そうだと言われたということで、もう一度検討させてくださいとおっしゃっていただいたんです。私の企画を真剣に取り扱ってくれていることが実感できて、とても嬉しかったです。

坂田:そうですか。うまくいくといいですね。たとえ1回目でうまくいかなくても、2回目、3回目と企画を出し続けると、相手の印象も良くなるのではないでしょうか。

尾原:はい、そうですね。それから、翻訳書だけでなく和書の企画も出しました。以前だったら和書の企画アイデアなんて思い浮かばなかったでしょうが、ブログを始めて、さまざまな情報にアンテナを張るようになって、そこからアイデアが浮かんできました。

坂田:どのような企画ですか。

尾原:いくつかあるんですが、まだ「出版持込ステーション」に出す企画書ができていないものもありますので内緒です(笑)。

坂田:いま、アイデアのタマゴを温めているところですね。企画リストに載るのを楽しみにしています。和書のほうは、執筆希望ですか。

尾原:ええ。ただ、専門的な話は書けませんので、そうした内容のときは編集者として関わることができればいいなと思っています。

坂田:今年の目標は着々と達成に向けて進行中ですね。では最後に、尾原さんの今後の夢を教えてください。

尾原:やはり、ビジュアルブックをトータルに仕事にしたいということですね。翻訳・編集・執筆の全部を個々に伸ばしつつ、将来的にもっと時間が自由に使えるようになったら、海外のブックフェアに出掛けて行って原書を発掘してきたいです。毎月、どこかの国でブックフェアが開催されているそうなんですが、毎月とはいわないまでも、年に1、2回、ロンドンとフランクフルトくらいは行きたいなと思っています。

坂田:そうなると、本当にブックハンターですね!

尾原:そうですね。10年後にはブックハンターになっていて、自分が企画し、翻訳した本が書店に並んでいる、それが今の私の夢ですね。


 
    一生をかけて手掛けたいと思う仕事にめぐり会えることは、とても幸せなことです。尾原さんにとってビジュアルブックがその仕事だったのですね。学生時代から好きだったビジュアルブック。尾原さんがそれを仕事にしようと考えるようになったのは、ちょっと遠回りをして社会経験を積んだ後でした。みなさんの一生のテーマも、実は身近にあるけれど気がついていないだけかもしれません。いつもと視点を変えてまわりを見回してみるのもいいかもしれませんね。
 

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