【アメリア】Flavor of the Month 44 藤原あゆみさん
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Flavor of the Month
<第44回>  全6ページ


習うより慣れろ! 語学習得は街へ出て実践あるのみ

坂田:中国語は日本で既に勉強していたのですか?

藤原:いいえ、中国に行くまでは中国語といえば「ニーハオ」「シエシエ」くらいしか知らなくて、ゼロからのスタートでした。ですから、まず外国語学院の中国語研修センターで2年間中国語を学びました。

坂田:2年間というと、新しい言語を一から勉強して大学入学レベルに達するには短いような気がするのですが。どのように勉強したのですか?

藤原:正直言って、それほど真面目な学生ではありませんでしたが、中国の人との交流はたくさんしました。語学習得の極意は現地の彼氏、彼女を作ることと言いますが、残念ながら私にはそういう人はおらず、語学研修をしていた大学で日本語を学んでいる中国人学生らと一緒に休日などにはよく遊びに出掛けていました。私と一緒の時は彼らは日本語のみで話し、私の方は中国語のみで話をするんです。お互いにまだまだ発展途上の日本語と中国語ですから変な表現をするのでそれを指摘しあったり、その指摘する時にも変な日本語や中国語が飛び交うので、それをまた指摘しあって……。

坂田:お母さんが子どもに正しい言葉遣いを教えるやり方に似ていますね。


藤原:ほかにも、自由市場などへ一人で買い物に行って下手くそな中国語で値段交渉をする、長期休暇には現地の長距離バスや列車などに乗って一人で小旅行に出掛けるなど、とにかく自分を中国語以外通じない環境に置くようにしていました。耳から慣らしていったという感じですね。耳が慣れてくると自然に言葉が口から出るようになり、先生には発音がとてもきれいですねとほめていただきました。文法のほうは非常に難しくて、これは日本から持っていった参考書で自習をして、理解できないところは中国人の先生に質問しました。

坂田:外国人が大学に進学するには、何か中国語の検定のようなものがあるのですか?

藤原:はい。日本の文部科学省にあたる中国の教育部が設けた「漢語水平考試」という試験があります。中国語を母国語としない中国語学習者のための唯一の国家試験です。中国語の発音の頭文字を取ってHSKと呼ばれています。1〜11級まであり、数字が大きい方がレベルが上なのですが、「2年間の語学研修を終えた外国人がHSK6級以上を取得すれば文化系学部の授業に出席できるレベルと見なす」と規定されており、私はHSK8級を取得して学部への入学が許可されました。ところが、この“見なす”というのが曲者でして、いくら"見なされ"ても、やはり授業中、先生の言う事をすべて聞き取るなんて事は至難の業で……。私が入学した大学の学部には留学生が私1人だけだったこともあり、中国人クラスメイトが何くれと無く面倒を見てくれまして、授業のノートを貸してくれたり、日本人にはわかりにくい概念を説明してくれたりと、本当に助けられました。

坂田:大学はどのように選びましたか?

藤原:広東語に興味があったので広東の大学に! と考えていました。日本の大学に進学した時とは異なり、その頃は将来のことも多少は考えられるまでに成長していたので、今後仕事をするにあたって中国の法律がわかる人間は有用かもしれないと思い、法学部のある広東の大学を探しました。そこで見つけたのが広東の中山大学です。これは留学団体を通さずに直接アタックしました。

坂田:直接アタックというと?

藤原:以前、飛行場で困っていたときに助けてくれた日本語のできる中国人の方がいたのですが、その人は大連市政府の市長の通訳をされている方で、相談をしたところ「何かの役に立つかも知れないから市長の紹介状を書いてもらってあげる」とおっしゃってくださいました。"貴校への入学を希望する"という内容の手紙にその紹介状を添えて大学側に出したところ、すぐに返事がありました。今から十数年前、当時はまだコネクションが幅を利かせる社会でしたので、大連市長の紹介状のお陰だったと思います。それからすぐに語学研修の成績証明とHSKの取得証明など必要書類を持って広東に飛びました。中国人学生には日本のセンター試験と同じような統一試験があるのですが、留学生にはそれはなく、形式的な筆記試験を受けて入学を許可されました。

坂田:大学ではどのようなことを学んだのですか?

藤原:主に中国の国内法(憲法や刑法などの公法、民法などの私法)と国際法(条約)です。日本の法律にも興味が出てきて、卒論は日本と中国の法体系の比較に関するものを書きました。選択科目では犯罪心理学や法の起源などについても勉強しました。

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