【アメリア】Flavor of the Month 54 ラッセル秀子さん
読み物
Flavor of the Month
<第54回>  全4ページ


ラッセル秀子さん

第54回
念願の訳書も発行 実務翻訳と、出版翻訳と、講師業と忙しいけれども充実した日々です
  ラッセル秀子さん
Russell Hideko


興味を持った通訳・翻訳。アメリカの大学院で本格的に勉強


坂田:現在、アメリカはカリフォルニア州モントレーでフリーランス翻訳者として、そしてモントレー国際大学院の講師としてご活躍されているラッセル秀子さんが今回のお客様です。最近、念願の書籍翻訳もされたそうですが、ここへ辿りつくまでの途中には紆余曲折があったそうです。本日はいろいろとお話しを聞かせてください。よろしくお願いします。

ラッセル:こちらこそ、よろしくお願いします。

坂田:翻訳をするようになったのは、いつ、どんなきっかけですか?

ラッセル:実は、大学に入った頃は、通訳者を目指していました。都内の通訳学校に通いながら、同時にアルバイトで、暖房機器や関連文書、およびビジュアルブックなどの社内翻訳をしていました。これが独日翻訳だったのですが、ドイツ語はトータルで半年間の語学留学と日本の語学学校で勉強しただけで、とても満足な翻訳ができるレベルではなかったこともあり、悪戦苦闘の毎日でしたが、翻訳作業の面白さにはじめて触れたのはこのときです。


坂田:独日翻訳で翻訳の面白さに触れたということですが、具体的にはどのようなところが面白かったのですか?

ラッセル:それまで学校の授業でやってきた「英文和訳」や「独文和訳」では、原文の意味をひとつ残らず落とさず正確に書き出すことに重点が置かれ、日本語の表現の自然さはどちらかというと無視していました。一方、初めて試みたビジネスの現場で行われる翻訳では、当然読み手がいることを前提にして日本語を書くことが必要になりました。外国語の意味を正確に伝えるだけでなく、読みやすさを高めるために日本語を練る作業がとても楽しく、新鮮に思えました。

坂田:実務レベルの翻訳ならではの面白さということですね。大学卒業後はどうしましたか?

ラッセル:もっと勉強したいと思い、カリフォルニア州にあるモントレー国際大学院(Monterey Institute of International Studies)に留学し、通訳と翻訳を専攻しました。この時点でも、主に興味があったのは通訳だったのですが、翻訳の奥深さにも夢中になりました。

坂田:最初は翻訳よりも通訳に興味があったということですが、通訳のどのような点が魅力的だったのでしょう?

ラッセル:ドイツに語学留学していたときなどに、異文化間のコミュニケーションの面白さ、あるいはそのギャップの面白さに興味を持つようになったことが大きかったと思います。いろいろな国の人と接してみて、日本というのは欧米とは論理の建て方も価値観も違う、本当に特異な文化だなとつくづく思いました。そして、いつか異文化の架け橋になれるような仕事をしたいと強く希望するようになり、通訳という職業を目指すに至りました。また、会社勤めより、手に職をつけてフリーランスで仕事をする方が自分には向いているだろうとも考えていたので、通訳は比較的良い収入につながりそうな点にも惹かれました。

坂田:モントレー国際大学院での授業は、どのような内容でしたか?

ラッセル:少人数制のクラスで毎日鍛えられた2年間でした。1年目は翻訳・通訳の基礎クラスが中心で、2年目には翻訳、翻訳・ローカリゼーション管理、翻訳・通訳、会議通訳の4つの専攻コースから選ぶことができます。翻訳の授業は英日・日英の両方向があり、一般、経済、技術、政治関連の雑誌記事や技術文書、ビジネス文書などが主な課題でした。英語を軸として、日本語、中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語、ドイツ語、韓国語、アラビア語(2008年秋開設)があり、3カ国語間の通訳・翻訳を専攻することもできます。ハリーポッターシリーズの翻訳で有名な松岡佑子氏は、ハリーポッターを手がけられる数年前、同時通訳者として第一線で活躍しながら、数年間この学校で通訳を教えていらっしゃいました。教鞭をとりながら、同校で国際政治学の修士号も取得されています。

坂田:そうなんですか。それで、その中に日本人の生徒さんはどのくらいいるのですか?

ラッセル:日本人の比率は、その年によって違いますが、私が卒業した年(1992年)の日本語のクラスは、日本人がほとんどでした。以来、今までの傾向としては、日本人(あるいは日本語が母国語)の人が大半を占めています。今年の卒業生はアメリカ人5名、日本人7名でした。皆さんたいへん優秀で熱心な方たちばかりです。

坂田:みなさん、卒業後はどのような仕事に就かれるのですか?

ラッセル:卒業後は、世界各国で企業や公的機関などの専属となったり、フリーランスとして働く方が多いです。通訳・翻訳教育に従事している方々もいます。就職課が充実しているので、就職率はかなり高いです。
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