【アメリア】Flavor of the Month 48 三浦和子さん
読み物
Flavor of the Month
<第48回>  全4ページ


定例トライアルは参加すること自体が勉強に

坂田:この5年間、どのくらい勉強をしていたのですか?

三浦:最初の2年間は、毎日5時間ぐらいでしょうか。家事はできるだけ要領よくこなして、残りの時間を翻訳学習に当てるように努力しました。お菓子を食べながらテレビを見たり、本を読んだりしてゴロゴロするのも大好きなんですが、テレビはあまり見ないように心がけましたね。中村ゼミに入ってからは、1日7、8時間は翻訳に使いました。自分でざっと時間割を決めて生活するようになりましたね。家事も時間を決めてしまうと、短時間で片付くところがありますから。それと、夫のいる時間に家事をしてアピールすることも大事(笑)。そうやって自分で時間を作る気になると、スローな私もリーディング、トライアル、授業の準備などをこなせるようになりました。少しずつ下訳や添削の仕事が入ってきて、翻訳家生活を体験できるようになったこともあり、楽しくてエンジン全開になってきたんですよ。アメリアの定例トライアルも1度の挑戦であきらめていたのですが、3年目から発奮し、結局、定例トライアル挑戦11回目でフィクション&ノンフィクションのクラウン会員になれました。

坂田:家事を短時間で片付けるとのことですが、三浦さん流の家事をうまくこなす方法はありますか?

三浦:そうですね。洗濯と掃除は曜日を決めて、まとめてします。買い物は生協の宅配を利用し、足りないものだけ毎日の散歩の時に買ってきます。料理も煮物、汁物などは一度にたっぷりと作って冷蔵庫に保存。その他、煮豆、鰻などのパックを常備しておくとご飯を炊けば出来上がり、ということも可能ですね。でも本当に忙しいときには、外食、中食でしのぎます。団塊世代の夫に家事をしてもらうのはなかなか難しいのですが、夫の定年後には「夫の協力が秘訣です!」と言えるようになりたいですね。

坂田:定例トライアルは、最初の挑戦であきらめたというのは、成績があまりよくなかったのですか?

三浦:その通りです。最初の成績がBでしたので、「もっと上手になってからトライしないと応募料がもったいない」とケチな主婦根性を発揮してしまったのです。ところが、これは大きな間違いでした。トライアルをすること自体が勉強になるんですよね。

坂田:トライアルをすること自体が勉強になるとは、具体的にどういうことですか?

三浦:定例トライアルのフィクションの場合、必ず原書のタイトルが書かれていますから、課題発表後すぐにアマゾンで注文し、それから課題に取り掛かりました。課題をざっと読んで、雰囲気、人物の性格などを捉えてから、丁寧に単語を調べて訳します。一度訳したものを日を変えて見直すと、ミスに気づくことが多いですね。そうしているうちに原書が届きますので、全体を3日間ぐらいで読みます。これはリーディングの練習にもなりますし、一部だけではわからなかったことが見えてくるんです。そこでまた訳文を練り直して、期限ギリギリに提出していました。3カ月後に訳例、講評が発表になると、それをしっかり読みながら自分の訳文と見比べて問題点を考え、それを忘れないようにするわけです。ノンフィクションの場合は、原書を取り寄せて読むのではなく、類書(和書)や参考文献を図書館で探してきて、その内容を参考にしながら訳しました。インターネットだけでも調べ物はできるのですが、書籍を読むとさらに詳しい情報を得られるということも学べましたね。発表された訳例と自分の訳を比較して復習することにも力を入れました。

坂田:実際、この勉強法で翻訳力はアップしたと感じられますか?

三浦:う〜ん、改めて聞かれると、どうでしょう!?  勉強を始めたころに比べるとかなり進歩したかなと思います。それに、実際の仕事をする上で必要な作業のトレーニングになりますね。でもまだ始まったばかりですので、さらに上を目指して修業していきたいと思います。現在も自分の課題を克服するために翻訳学校でノンフィクションの勉強を継続しているんです。勉強や仕事を続けていると次々に新たな壁が現れ、落ちこむこともありますが、「翻訳が好き」という気持ちが先にたっているので、楽しく続けられます。考えに考えて、これだ!という訳を思いつくとニコニコしてしまうんですよ。

坂田:定例トライアルは3年目から発奮したということですが、何かきっかけがあったのですか?

三浦:ゼミでは偶数月に、前月に結果の出た定例トライアル<出版>の検討会が開催されます。Bを取ったメンバーが当番になり、自分の答案を披露しながら問題点をあげてみんなに検討してもらい、先生からコメントをいただくのです。これはとても効果的でした。自分の欠点がはっきり見えてきます。トライアル挑戦が義務にもなってましたし、みんなと一緒にトライしていると、失敗してもあまり落ちこまないんですよ。この検討会のお陰でクラウン会員になれたと思います。

坂田:11回目というと、定例トライアル<出版>はフィクション&ノンフィクション合わせて 年に6回ですから、約2年かかったということですか?

三浦:そうですね。毎回出すようになってから2年かかりました。

坂田:クラウン会員になれたときのお気持ちは?

三浦:フィクションの方は1年以内にクラウン会員になれたのですが、ノンフィクションは2年がかりでしたので、やっと目標を達成できたという意味で嬉しかったです。でもこれが出発点だと感じて、身が引き締まる思いでした。

坂田:クラウン会員になって、具体的になにかメリットはありましたか?  仕事が舞い込んだとか。

三浦:アメリアを通じて、初めて下訳の仕事をいただきました。人類学関係の本を数人で訳したのですが、内容的にも興味深いもので、とても楽しかったです。出来上がった本を手にしたときは「感激!」でした。

坂田:その後も、お仕事は増えてきましたか?

三浦:はい。知り合いの方から下訳の仕事をいただいたり、ゼミで引き受けた翻訳に参加させてもらったりで、年に2回ぐらいのペースで翻訳の仕事にかかわっています。ゼミでは、「あらゆる機会をとらえて挑戦すること」が大切だと教えられました。ゼミに入ってから、持ち込み企画、定例トライアル、他のトライアル、JOB INDEXなどでの翻訳者募集など、何にでもトライするようになりました。失敗を恐れていては前に進めないし、その挑戦がすべて自分の勉強にもなることがわかったんです。そして、今回の訳書のお仕事もその挑戦のひとつから実現したものです。
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