ニュース翻訳、英訳でご活躍の小野久美子さん Flavor
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Flavor of the Month
<第118回>  全7ページ
入社半年目で1面トップ掲載のニュースの翻訳・配信を経験。 翻訳のスピードは、やればやるほど上がる。そして「集中力」も大切。

高橋 :訳した記事が翌日の紙面に載るとは、本当にスピード勝負ですね。

小野 :翻訳したものが翌日には紙面になっている、と言うとよく驚かれるのですが、私の場合は最初からそれが普通でした(笑)。日本語から英訳したものを日本人の翻訳デスクがチェックし、ネイティブの方がリライトし、それをもう1人のネイティブが読み、さらに最終的なチェックを日本人が行いますので、その時間も読み込まないといけませんでした。

高橋 :ニュース翻訳をしていた頃の、印象的なエピソードなどはありますか。

小野 :鮮明に記憶に残っている1日があります。入社当初は夜勤勤務があり、その日遅くに入ってきたニュースを夜中に訳して翌日の朝に載せる、ということもありました。入社してまだ半年くらいの夜勤のときに大きな事故のニュースが入ってきて、イージス艦と漁船の衝突事故だったのですが、これは絶対に翌日の1面トップに載せなければならない、ということになりました。ところが、情報がなかなか入ってこない。そのうえ、1000字くらいの記事だったと思いますが、右側に旋回して、尾翼が……など内容が詳細で、専門用語や聞きなれない言葉が盛りだくさんの原稿を、短時間で訳さなくてはならない状況に追い込まれました。結果的にやり切りましたが、背中に冷たい汗が流れるのを実際に感じたのは初めてでした。

高橋 :プロフィールに1000Wordsの日英翻訳を3〜4時間で行えると書かれていましたが、かなり速いですよね。

小野 :はい。今はもう少し速くなっています。1面トップ記事を翻訳するのに2時間半〜3時間くらいでしょうか。今日もここに来る前に1本受注して、1時間半くらいで翻訳して出稿したら、デスクに「早いね」と言われました(笑)

高橋 :翻訳の速度は、仕事を通して上がるものだと思われますか。

小野 :やればやるほど上がると思います。それと「集中力」でしょうか。今は在宅で仕事をしていますが、受注したらすぐにとりかかります。どんどんこなして常に体をあけておかないと、次に来た仕事を受けられないですからね。仕事は早いほどいいと、静岡新聞にいた頃から植えつけられているんです(笑)

高橋 :得意なジャンルはありますか。

小野 :ニュース翻訳では政治関係の記事を任されることが多いです。新聞社にとっては使う言葉ひとつから気を使うセンシティブな問題を扱うので、元々社内にいて用語選択を叩きこまれている私が任されるのかなと思います。政治面は日本語で読んでも難しいですし、リサーチが必要な記事が多くて「好き」とは言いにくい分野なのですが、コツコツ調べて訳すことが求められている点が、自分には向いているようです。ニュアンスを汲み取って訳せるかどうかも重視されるので、日本語に対する理解力も必要です。日本語の記者だって、自分の原稿が違う意味に訳されていたら嫌ですよね。そう思うので、英語としてあまりこなれていなくても、正確さを第一に訳すことを心がけています。

高橋 :金融関係にもお詳しいそうですが、翻訳に役立てようと思われてのことですか。

小野 :子供がふたりいるので、お金に関する知識はあったほうがいいと思い、フィナンシャルプランナーの勉強をしてCFPの資格を取得しました。翻訳に役に立つというよりは実生活に役に立っています。

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