ニュース翻訳、英訳でご活躍の小野久美子さん Flavor
読み物
Flavor of the Month
<第118回>  全7ページ
「きれいな言葉」を使う人に憧れを感じている。 「できること」の幅が広がるように、新しい仕事が来たら気合いを入れて頑張る。

高橋 :文章を書くのがお好きということは、ご趣味は読書ですか。

小野 :小学校高学年の頃から本はたくさん読んできました。好きな作家は村上春樹さんで、高3の時に家に置いてあった『ねじまき鳥クロニクル』を読んで、魅了されました。いちばんを挙げるなら『羊をめぐる冒険』で、何十回も読み返しています。特に『風の歌を聴け』から『ダンスダンスダンス』の頃の作品が大好きです。ほかには宮部みゆきさんも好きでよく読みます。読書以外にも、舞台を観にいくなど趣味は多い方で、ここ10年はヨガに取り組んでいます。アシュタンガ・ヨガという難易度の高いもので、これも難しいからこそ、やりがいが感じられて続けています。ほぼ毎日、週4、5日は練習をしています。

高橋 :これからやってみたい翻訳の仕事などはありますか。

小野 :今は実務翻訳をしていますが、いつかは勉強して出版翻訳もやってみたいという思いはあります。ただ、自分はきわめて実務的な人間だと思うので、今やっている実務分野の英訳の腕をもっと磨きたいと思います。あとはやはり、もっと専門性を高めないと仕事が続かないと思うので、何を専門にしていくかが悩みどころです。

高橋 :出版翻訳は、どのあたりに魅力を感じますか。

小野 :きれいな言葉が好きだからです。たとえば村上春樹さんは翻訳も行う方で、独特の表現に惹かれますし、歌手でも作家でも、きれいな言葉を選んで使う人が好きです。ああきれいな言葉を使っているなあ、魅力的な文章を書けたらいいなあって、憧れに近いものがあります。それが出版翻訳だったら追及できそうだからです。とはいえ、まずは実務翻訳で何か専門性を確立するのが先決だと思っています。専門性とは、自分で選ぶようなものでもないような気がします。まずはできることの幅が増えるように、新しい仕事が来たら気合いを入れて頑張ろうと。それがリピートされれば、専門性につながるかも知れないですし。

高橋 :とにかくやってみる、という精神ですね。

小野 :最初に入社したのが新聞社で、仕事を選ぶなんてとんでもないという感じだったので(笑)。静岡新聞出身の人は根性だけはあると言われているらしくて(笑)、とりあえず文句を言わずに来た仕事をやるという姿勢は身に付きました。最初が静岡新聞でよかったねと、かつての仲間と今も集まっては話しています(笑)。私は、いろいろな場所で、実践で仕事を学んでこられて、ラッキーだったと思います。

高橋 :小野さんのお話をうかがっていると、すごく頑張っているなぁと熱いものを感じます。

小野 :フリーになって、おこなった仕事に応じて収入がある、というのが大きいですね。頑張れば頑張っただけ収入が増えるのは、モチベーションになりますから。そもそも立ち止まっているのは性に合わないので、仕事を辞めるということは考えられないです。今は在宅で仕事をしていて、子供たちと過ごせる時間が増えたことはよかったと思います。ただ、忙しいときに何度も話しかけられて怒っちゃったりもして、ダメだな、ごめんねと悩んだり反省しながら毎日を過ごしています。オンとオフの区別をつけるのが難しいので、そのあたりもやりくりできる人間になりたいです。

■最新の記事を次々と訳して配信するニュース翻訳。スピードと知識が要求される現場でキャリアを積んできた小野さんは、外見は華奢なのにさまざまな仕事をこなす根性の持ち主で、お話もとても面白い方でした。いろんな人の気持ちを考えながら文章に向き合い、正確に訳すことを心がけている小野さん。お話を聞きながら、頼もしく、そして元気をいただきました。これからも頑張ってください!

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