実務翻訳をフリーランス、翻訳会社、そして派遣で 守井悦子さん Flavor
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<第129回>  全4ページ
企業の翻訳チームで働く日々

加賀山 :昔から英語が好きだったのですか?

守井 :好きでしたが、将来翻訳をするとはまったく思っていませんでした。小学校の文集に「通訳になりたい」と書いたのは憶えていますが。

加賀山 :そのころから通訳や翻訳を意識していたのかもしれませんね。フリーランスや翻訳会社勤務を経て、いまはどのようなお仕事を?

守井 :2014年からは、外資系の保険会社でフルタイムの派遣社員として働いています。派遣会社に登録したところ、そこを紹介されました。

加賀山 :翻訳のチームで働いているということですが、会社に翻訳専門のチームがいるということは、かなり大手なのですね。

守井 :会議など英語でコミュニケーションを求められる場面が多く、いろいろな部署に専任の通訳チームと翻訳チームがいます。担当しているのはお客様向けではなく、社内向けの文書です。

加賀山 :在宅でやっていた翻訳と比べて、会社での翻訳というと何かちがいがありますか?

守井 :ちがう点としては、社員がエンドユーザーですので、わからないところは担当者に問い合わせればすぐに回答がきて、楽といえば楽ですね。
 翻訳のクオリティも、もちろん高くないといけませんが、フリーランスのときほどではなく、むしろ、明日何時に使う資料なので今日中に仕上げてというふうにスピードが重視されます。

加賀山 :なるほど。

守井:経験を積むと、プロジェクトの流れがわかるようになり、その意味でもやりやすくなります。いま私がかかわっているプロジェクトは、何年もかかる大がかりなもので、現在進行中です。
 それに対して、フリーランスの場合には、昨日は契約書、今日は市場レポートというふうに何が来るかわからない。楽しい反面、どんなものが来ても即応できなければならないので、毎回力を試されるというつらい部分もありますね。

加賀山 :どちらのほうがお好きですか?(笑)

守井 :いまは6人のチームですので、仲間にいろいろ相談できます。ほかのメンバーの訳を見て、ああ、こういうふうにも訳せるのかと比較して勉強にもなりますが、素材がいつもいっしょですから、たまにはちがうものを訳してみたいと思うときもあります。また、いまは日本語の英訳が多いので、和訳が恋しくなることもあって。ないものねだりですね。

加賀山 :日本人の社員が書いたものを社内向けに英語にするのですね。社内コミュニケーションの翻訳というと、和英の需要のほうが多いのかもしれません。

守井 :そうですね。9割は英訳です。フリーのときには和訳ひと筋でしたから、日本語の訳文を丁寧に整えていく。いまはそういう作業が懐かしくなったりもします。

加賀山 :チームの中にネイティブもいらっしゃるのですか?

守井 :いません。全員日本人です。

 
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