【アメリア】Flavor of the Month 24 富沢 玲子さん
読み物
Flavor of the Month
<第24回>  全5ページ


韓国文化を日本の人々に知ってもらいたい 翻訳の仕事を通じて日韓交流のお手伝いができれば


坂田:2002年のワールドカップを私はテレビで観ていましたが、富沢さんはあの真っ赤な韓国に居たんですね!

富沢:はい。赤いユニフォームを着て、韓国チームを応援しに行きました! 私が観に行ったのは、韓国対トルコの3位決定戦でした。負けてしまったので残念でしたが会場はものすごい熱気でした。

坂田:日本からテレビと通して見ていると、韓国サポーターが一体化していて、すごく熱くて、「何だろう、あの熱さは……」ってびっくりしていました。正に、あの中に居たんですね。いかがでしたか?

富沢:韓国戦がある日は、街中が朝から“赤”なんです。みんな赤いTシャツを着て、頬に国旗のペインティングをして。テレビを見ていたら、病院でもお医者さんが白衣の下に赤いTシャツを着ていたり、バスの運転手さんもタクシーの運転手さんも、みんな赤い服を着ているんです。あの愛国心というか、団結力というのはすごいなと思いました。国民が一致団結して自分の国を応援するという姿を見て、ちょっと感動しましたね。

坂田:そのなかに身を置いて、いっしょになって感動していたんですね。

富沢:はい。韓国が負けそうになって、PKでギリギリ勝った試合は、韓国人の友だちと一緒にテレビで見ていたのですが、全員泣いていましたね。もちろん、私も一緒に泣いてしまいました。

坂田:韓国の文化を体感する、貴重な体験でしたね。韓国をもっと好きになりましたか?

富沢:はい! 韓国文化にどっぷり浸かって、さらに好きになりました。隣の国である韓国を知ろうと大学の頃に始めた韓国語でしたが、その後、文化や歴史、また日本との関係についてわかるようになると、韓国と日本の関係が良くなる必要があると強く思うようになってきました。実際に韓国に行ってみると、日本語ができる韓国人は多い一方で、韓国語ができる日本人、韓国に興味のある日本人がとても少ないことに気付きました。関係の改善には相互理解が必要不可欠です。私は日本人に韓国をもっと知ってもらう仕事をしていきたいと思っています。

坂田:では留学から帰国後は、韓国関係の仕事をなさっているのですか?

富沢:実は、私が韓国留学の際にお世話になった会社の方にお声を掛けていただいて、今は留学希望者のサポートをするお仕事をしています。韓国と電話でやり取りすることも多いので、韓国語はよく使います。経験者としていろいろとアドバイスもできますし、仕事はとても面白いです。ただ、もっと専門的なことで韓国語を生かしたいなという気持ちがあって、今は翻訳者を目指しています。韓国でも日本文化全面解放となり日本文化への関心も高まっている今、日韓両国の相互理解の一助となるべく、韓国文化を日本の人々に知ってもらうような仕事――翻訳という仕事はまさにそれだと思うのです。私が手掛けた作品によって少しでも韓国に関心を持ち、好意を持ってもらえたら、日韓の交流がより深まったらいいなと思います。

坂田:韓国語の生かし方としては、他にも通訳などが考えられますが、翻訳を選んだ理由は何ですか?

富沢:手紙やメールや日記など、ものを書くことが好きなんです。頭の回転がよくないので、話しながら咄嗟には思いつかないのですが、ゆっくり考えて、自分のペースで書くという作業は自分に合っていると思います。それから、幼少の頃から大学卒業するまで、ずっとピアノを習っていたのですが、翻訳はピアノでひとつの曲を弾くという作業にも似ていると感じました。作曲家の書いた楽譜を読み、自分なりにアレンジをして、どのように表現をするか考えながら作り出して行くという作業が翻訳に似ていると思います。元のものをどのようにアレンジ、表現をして人に伝えるかという点に面白さを感じます。

坂田:それで翻訳者を目指して、アメリアに入会したわけですね。仕事情報がいろいろと送られると思うのですが、お話を聞くと大学時代は英語を勉強していたということで、英日翻訳に目移りしたりしませんか? 韓日翻訳と英日翻訳の両方をやろうとか?

富沢:考えたことはあります。韓国に行く前は英語もある程度はできると思っていたのですが……。恥ずかしい話ですが、韓国に行って、外国語である韓国語を一生懸命話そうとすると、外国語としての英語がどんどん消えていってしまったんです。同時に2つの言語は私にはできないみたいです。

坂田:何カ国語もできる方もいらっしゃるでしょうが、人それぞれで、じっくり考えて書くのが好きな富沢さんは、器用に何カ国語もというよりは、1つの言語を突き詰めるタイプなんでしょうね。

富沢:そうですね。

坂田:数カ国語をやるとか、翻訳も通訳もやるとか、映像も文芸も実務もやるとか、そういう方もいらっしゃるし、自分の分野を絞る方もいらっしゃるし、それは人それぞれですよね。性格にもよるし、状況にもよるでしょうし。

前へ トップへ 次へ