【アメリア】Flavor of the Month 26 小浜 杳さん
読み物
Flavor of the Month
<第26回>  全5ページ


下手でもいい、とにかく伝えたいものがあった


坂田:翻訳という原文があって書く日本語と、今回のようにまったく自分の言葉で書くというのとでは、小浜さんにとって違いはありますか?

小浜:もちろん違いはありますが、どちらが楽しいか、というとどちらも楽しいし、どちらが簡単か、というと、それは比べられないものです。ただ、今回に限って言うと、最初から「翻訳」というテーマが与えられていて、それに対して書きたい内容がすぐに見つかったので、かなり速く、翻訳するよりも楽に書けました。今回に限ってですが……。下手でもいいから、とりあえず完結させたかった。だから、文章スタイルにはこだわらずにメッセージ重視でどんどん書き進めていきました。

坂田:完成までどれくらいかかりましたか?

小浜:そうですねぇ、1カ月くらいかな。

坂田:受賞の知らせを聞いた時は?

小浜:受賞の知らせは、メールでいただきました。ビックリして、ちょっと舞い上がりましたね。それから、「しまった! みんなの目に触れてしまう」と恥ずかしさも少々……。すぐに家族に電話をしました。会社の人や友人には言っていないのですが、会社にはアメリア会員の方も大勢いて、そのうちの1人から、アメリアWebサイトで見たわよってメールをもらいました。

坂田:大賞に選ばれる自信はありましたか?

小浜:自信はありませんでしたが、人とは違う路線を突いたのがよかったのかな。第1回の受賞作がご自身のことを書いたエッセー風のものだったので、その路線は外して小説にしようと思いました。私の好きな小説にジョージ・オーウェルの『1984』という作品があります。これは1948年という戦後間もない頃に書かれた未来小説で、SF小説の体裁をとっているのですが、実は、共産主義と自由主義の冷戦構造が激しさを増す時代に、政治的な危機を感じてオーウェルが書いた一種の諷刺小説なんです。純粋な小説というよりも、小説と思想書の間のようなもの。そういうものを書けば、他の誰とも違う作品に仕上がるんじゃないかなと。

坂田:その狙いは見事に功を奏したと思います。非常にオリジナリティがあって、ぐいぐいと引き込まれていく作品でした。ところで、賞金の使い道はもう決まっていますか?

小浜:私は堅実指向なので、貯金といいたいところですが、それではつまらないので……。旅行が好きなので、旅費にしたいと思います!

坂田:そうですか。ぜひ、思いっ切り旅行を楽しんでください! 今日はどうもありがとうございました。

 
    字幕翻訳について、読書について、ご自身の考えをしっかりともっていらっしゃる小浜さん。インタビューでもそれを存分に表現してくださいました。そして、今回の受賞作もまた、メッセージ性の強い、心に訴えてくる作品です。小浜さんの受賞作『クラウド・クックー・ランド』こちらから読むことができます。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
また、現在『第3回翻訳ドラマ大賞』の作品を募集中です! 締切は2005年2月末ですので、まだまだ時間はたっぷりあります。詳細は「参加しよう!」のページの「翻訳ドラマ大賞」をご覧ください。
 

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