【アメリア】Flavor of the Month 34 内藤智子さん
読み物
Flavor of the Month
<第34回>  全5ページ


これは簡単・・・・・・と思いきや、意外と難しい!

坂田:では、実際に翻訳の勉強をはじめてみて、いかがでしたか?

内藤:意外と難しいなと思いました。翻訳について深く考えないではじめたので、最初の頃は、辞書もあまり引かず、調べものもしないで、英文和訳の域で課題を訳して提出していましたから。今思うと、とっても気楽にやっていました(笑)。

坂田:『ステップ24』の課題は、それほど長い英文じゃないですし、辞書を引いたり、詳しく調べたりしなくても、できたつもりになりますよね。

内藤:はい。でも、本当にできているわけじゃない。できたつもりでいたのに、訳文が添削されて返ってくると真っ赤で、「採点者はこんなところを見ているんだな」「何気ない文章にもいろんなことが詰まっているんだな」とさまざまな驚きがありました。難しいと思うと同時に、おもしろいなとも思いました。

坂田:じゃあ、何気なくはじめた翻訳だけど、やるほどに面白くなっていったという感じですか?

内藤:そうですね。翻訳の難しさに気づいて、おもしろさがわかってくるにつれ、もう少し辞書を引いて考えようかなとか、少し調べてみようかな、と思うようになり、課題への取り組み方も変わってきました。それで、1年で『ステップ24』が終わり、翻訳がだんだんおもしろくなってきていたので、次の年は『はじめての文芸翻訳』を受講したんです。でも、仕事が忙しくなってしまって、結局、課題を一度も提出せずに期限が切れてしまいました。

坂田:そうなると、仕事の忙しさに流されて、そのまま翻訳から離れてしまう人もいると思いますが、内藤さんの場合は……。

内藤:せっかくおもしろくなってきた翻訳だから、もっとちゃんと勉強したい。そのためには仕事を続けていたら無理だと思い、仕事を辞めることにしました。

坂田:まったく逆の選択をしたわけですね。仕事が忙しいから翻訳の勉強をやめるのではなく、翻訳の勉強ができないから仕事をやめてしまった!

内藤:はい。5年間勤めましたが、仕事が性に合っていないなと感じていたので、それも大きかったと思います。郵便局の窓口業務なんですが、仕事が細かくて、はんこひとつ抜けていると、すごく責められたりして……。仕事柄、仕方ないんでしょうが、私はそういうことにだんだん疲れてきて。1日のほとんどの時間を仕事に費やすのだから、少しでも自分が興味の持てることをやりたいなって。

坂田:それが内藤さんにとって翻訳だった。

内藤:はい、そうです。昔から、本を読むのが好きだったし、調べることも好きだった。だから、先々のことを考えると、やっぱり翻訳のほうが自分に向いているなと。

坂田:でも、まだこの時点では深くは勉強していないですよね。

内藤:はい。だから、せっかくおもしろくなってきた翻訳を、もっとしっかり勉強したいと思って、1年間みっちり学べるフェロー・アカデミーのカレッジコースに決めたんです。

坂田:それで仕事を辞めて、長野から東京に引っ越してきた。

内藤:そうです。

坂田:ものすごい大冒険ですよね! 学費や生活費は、しっかり貯金していたのですか。

内藤:ええ、貯金はしていましたね。何事にもそうなんですが、自分に合わない、いやだなと思ったら、もういやなところしか目につかない性格なんです。だから仕事を辞めるのにも迷いはありませんでした。同期入社の人も結構辞めていたので、私もそろそろいいかなって、きっぱり辞める決心ができました。
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