【アメリア】Flavor of the Month 56 野津智子さん
読み物
Flavor of the Month
<第56回>  全4ページ


野津智子さん

第56回
大学時代に受講した翻訳の通信講座 訳すことの面白さに魅了され そのまま文芸翻訳家を目指しました
  野津智子さん
Tomoko Nozu


惹かれるまま始めた通信講座で翻訳にのめりこみ……

坂田:今回のゲストは京都在住で出版翻訳の分野で活躍されている野津智子さんです。自己啓発書やビジネス書を中心に27冊の訳書を持つ野津さんに、どのようなきっかけで翻訳家を目指し、また仕事を獲得してきたのかをうかがいたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

野津:こちらこそ、よろしくお願いします。

坂田:現在は、書籍の翻訳を主になさっているそうですが、いつごろから翻訳者になろうと思ったのですか?

野津:語学を活かした仕事をしたいとは昔から思っていましたが、訳者という仕事を意識したのは大学2年のときです。フランス語学科に在籍していたためフランスへ40日間の短期留学をしたのですが、その直前に、「翻訳って、どんな仕事なんだろう」と考えた記憶があります。帰国後、少し調べてみて“憧れ”を抱くようになり、通信教育を受けたところ、のめりこみました。もっとも、通学して“厳しさ”を知り、仕事をさせていただくようになって“現実”を知りましたが(笑)。

坂田:翻訳について調べて憧れを抱いたとのことですが、このときに目指したのは出版翻訳ですか?

野津:ええ。幼稚園の頃から本が大好きでした。絵本から始まって、小学生の頃は、日本の作品・翻訳ものを問わず、少年少女向けの小説や、子ども向けにリライトされた文学作品など、面白そうだと思った本をかたっぱしから読みました。日本の古典なども読みましたね。小学校高学年になると、背伸びをして大人向けの文庫本に手を出したりもしました。読めない漢字がちらほらあるにもかかわらず(笑)。中学、高校のときは小説を主として漫画なども読みました。日本語が好きなんですね、読むにしろ書くにしろ。作家などものを書く仕事に、昔から憧れを持っていました。

坂田:本が好きだったことと大学時代に語学を学んだことが一緒になって翻訳に興味を持つようになり、そして翻訳の講座を受講されたのですね。

野津:そうかもしれません。大学2〜3年の頃に通信で基礎を学びました。添削結果と一緒に送られてくる訳例を見て、「この英文が、この日本語になるのか!」と目から鱗でした。読んでだいたいの意味がわかるのと訳すのとは、ほんとうに大違い。でも、ぴったりの日本語を探す作業が、大変だけど、それはもう楽しくて! 大学の勉強そっちのけで、のめり込みました。もちろん、訳者の大変さを、全然知らなかった頃の話ですけど(笑)。

坂田:翻訳の学習は通信講座だけでしたか?

野津:通信講座の後半は、並行して通学もしました。結局、何年か通いましたね。クラスメイトにレベルの高い方が多く、とても刺激を受けました。すでにデビューされている方、デビュー間近の方をはじめ、実力者ぞろいのクラスでしたから。当時、私はそうした方々よりだいぶ若く、今思い返すと、いつも必死でした。でも、あせるばかりで実力が追いつかず、空回りしていましたね。

坂田:翻訳の面白さを知って、本格的に翻訳者を目指そうと思ったということですね。

野津:そうですね。訳者として仕事ができるようになりたいな、と思っていました。でも、大学を卒業してすぐ訳者としてやっていける、などと甘い夢を見ていたわけではありません。実際、京都に帰ってから、あきらめかけたこともあります。

坂田:では大学卒業後は就職したのですか?

野津:いえ。在学中から塾で英語を教えていたので、翻訳の勉強のかたわら、講師の仕事を続けました。
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