【アメリア】Flavor of the Month 92 亀井 玲子さん
読み物
Flavor of the Month
<第92回>  全5ページ


単語のひとつひとつをこまかく調べる徹底さ。作品に入り込み、楽しむことで乗り切るハードスケジュール

岡田 :充実したワーキングスペースで、効率的にお仕事を進める亀井さん。翻訳者を目指す方たちにとって、とても参考になる環境ですね。辞書検索ソフトを導入しているとのことですが、どのように活用を?

亀井 :『ランダムハウス英和大辞典』と『リーダーズ英和辞典』、『広辞苑』を検索ソフトに入れて、いっきに検索できるようにしています。辞書はいいものを使って、ていねいに読むことが大切だと思っています。ブラウザでネットの辞書を使うことも多いですね。単語だけでなくフレーズで検索して、どんな場面でどのように使われるのかを調べることもあります。

岡田 :なるほど。調べものにはそうとうな時間と労力を費やされるようですね。

亀井 :私は単語ひとつひとつをこまかく調べるようにしています。確実にわかっているもの以外はほぼすべて。たとえ簡単な単語でも、熟語になって知らない意味になっている可能性もあるので、確認のためにも調べます。思い込みで誤訳してしまわないように、とにかく辞書はひきますね。

岡田 :そうするとけっこうお時間かかるのでは?

亀井 :すっごくかかりますよ!(笑)。でも調子にのって読みとばすと勘違いし、誤訳することがありますから気をつけています。

岡田 :誤訳や間違いに気づくのはどういうときですか?

亀井 :ストーリーのどこかがなんだかヘンで、つじつまがあわなくなるんですよ。なんとなく納得がいかないなぁと思っていると、間違いに気づくことがあります。きちんと英語を理解せずに、日本語だけでうまくまとめようとするとそうなりますね。基本的にスクリプトは無駄がなく整理されているので、間違えるとどこかで必ずひずみがきて、つじつまがあわなくなるんです。原文をきちんと読み込み、理解するというのは大前提。ちゃんと理解していれば流れも把握できますから。

岡田 :なるほど、ひとつひとつの言葉と丁寧に向き合うことが大切なんですね。

亀井 :そう思います。言葉に向き合うのもそうですが、作品そのものに入り込むこともだいじだと思います。入り込むことで作品を存分に楽しみながら訳すことができますから。私は作品に対してコミットというか、思い入れが深く、どんどん入り込んでしまう。いわゆるB級的な作品でも、訳しているときはサイコーにおもしろいと思いながらはまっている(笑)。執着心が強いんでしょうね。作品にかかわったことで、深い愛着がわいてしまうんです。

岡田 :長年の学習に向き合えたのは、その愛着や執着心があったからこそだと思います。

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